退職の引き止めがしつこいとき、どうすれば円滑に退職できるのかご存知でしょうか。
しつこい引き止めに合わず円滑に退職するための対策方法を知っておきましょう。
そこでこの記事では、会社側がしつこく引き止める意図と、事前にできる対策を説明していきます。
この機会に円滑に退職するための対策方法を覚えておきましょう。
事前に対策してもしつこく引き止められるときの対処法もご提示していますので、ぜひ最後までご覧ください。
退職の引き止めがしつこい理由
退職の引き止めがしつこいのには理由があります。
会社があなたの退職をしつこく引き止めている意図を詳しく解説します。
人手不足
退職の引き留めがしつこいときに考えられる理由として、人手不足があります。
会社はそれぞれの人材に適した業務を分け与えチームで仕事を回しています。
あなたが退職すると、あなたの請け負っている業務を担当する人材が不足し仕事が回らなくなってしまうのです。
他の社員に大きな負担がかかることを避けるために、退職をしつこいほどに引き止めている場合があります。
また、とくに人手が不足しがちな飲食業では、店舗自体が回らなくなってしまいます。
経営に大きく影響するため、しつこいくらいに退職を引き止められている場合もあります。
優秀な人材
あなたが優秀な人材のため、退職の引き止めがしつこい場合もあります。
人の何倍ものスピードで業務をこなしていたり、会社に大きな利益をもたらしている人材のとき、社があなたを手放したいわけがありません。
優秀な人材であるからこそ、チームの仲間だけでなく役職のある上司までもがあなたの退職をしつこいほどに引き止めているのです。
パワハラ,嫌がらせ
パワハラや嫌がらせであなたの退職の引き止めをしつこいくらいにおこなうこともあります。
とくに次の5つのことで退職をしつこく引き留めてくる場合は、パワハラや嫌がらせに当てはまります。
- 退職を認めず懲戒解雇とする
- 退職したら給料を支払わない
- 退職したら離職票を渡さない
- 退職したら損害賠償を請求する
- 退職するなら有給を消化できない
労働者には自由に退職する権利があり、上記の引き止めは労働基準法に違反しています。
パワハラや嫌がらせで退職の引き止めがしつこいときには、法律事務所や労働基準監督署に相談することもひとつの手です。
新入社員の採用コストがかかる
新入社員の採用コストがかかるため、退職をしつこいほど引き止めていることがあります。
特にあなたの社歴が長い場合、業務をスムーズに引き継ぐ新入社員は、即戦力採用でないと見つかりません。
即戦力採用は、スカウトサービスなどの外部サービスの利用費や面接の人件費により、採用コストがかさみます。
具体的には、即戦力の人材を1人採用するのに平均して103万円もの費用がかかります。
人材の採用にコストがかかることを理由に、退職の引き止めがしつこいこともあるのです。
上司の評価が下がる
あなたの上司が自分の評価を気にして退職をしつこいほどに引き止めていることもあります。
上司は部下をマネジメントする存在であり、部下が退職したとき上司に責任が問われます。
出世意欲が高い上司のとき、自分の評価を気にするがあまり部下の退職の引き止めがしつこい場合もあるのです。
心配している
退職の引き止めがしつこいとき、上司があなたのことを心配して引き止めていることもあります。
とくに退職理由が、会社を辞めただけでは解決しない問題のときです。
たとえば、「苦手な人がいる」「職場の居心地が悪い」といった理由の場合、転職しても別の会社でまた同じ問題に直面します。
上司は退職したからといって解決する問題ではないと判断したとき、あなたの将来を心配してしつこいほどに引き止めることがあります。
何か別の理由を伝えたとしても、面倒見のいい上司はあなたの本心を見抜いている場合もあります。
「やりたい目標がある」「ステップアップしたい」などの上司が心配しないポジティブな退職理由を用意しておくといいでしょう。
会社の離職率が上がる
会社の離職率が上がることを恐れて退職をしつこいほどに引き止めることもあります。
なぜなら離職率が高くなると、新しい人材も確保しにくくなり人手不足が加速するためです。
離職率は「働きやすさ」や「職場の環境」の判断材料となるため、求職時に参考としている人材が多いのです。
そのため離職率が高くなればなるほど企業へ応募する人が減り人材の確保が難しくなります。
人材確保にかかるコストが増えるだけでなく、欠員を補助できず社員の負担も増えてしまいます。
離職率が上がることのデメリットを恐れ、あなたの退職をしつこく引き止めていることが考えられます。
しつこい退職の引き止めの対処法
会社からしつこい退職の引き止めに合わないためにも事前に対策を練っておくことが大切です。
スムーズに退職するための対策方法をご紹介します。
しつこい退職の引き止め対策:しっかりと意思表示する
退職の引き止めがしつこいときには、あなたの意思をしっかりと伝えることが大切です。
意思が揺らいでいる様子があったり、退職理由が抽象的であったりする場合「説得すれば考え直すのではないか」と会社側はしつこく引き止めるためです。
対策として何を言われても動じない様子を示したり、明確な退職理由を用意することが大切です。
特にネガティブな理由ではなく「新しいことにチャレンジしたい」というポジティブな理由だと、印象よく意思を貫き通しやすいでしょう。
しつこい退職の引き止め対策:退職代行を利用する
退職の引き止めがしつこいときには、退職代行を利用することも一つの手です。
退職の意思を伝えたとき何度もしつこいほどに引き止められ話が進まないときには、退職代行を挟めばスムーズに進みます。
退職代行ならば今後一切会社とやりとりしなくとも退職まで進めてくれるため、引き止められることはもうありません。
しつこい引き止めで退職の意思を受け入れてもらえないときには利用を検討しましょう。
しつこい退職の引き止め対策:転職先を先に決める
しつこい退職の引き止めの対策として転職先を先に決めておくことも有効です。
具体的な退職日が決まっていない状態のとき、会社はあなたをしつこく引き止めて退職を先延ばしにする場合があります。
転職先の出社日が決まっていれば、必然的に明確な退職日も決めなくてはなりません。
会社もあなたの退職を執拗に引き伸ばすことができなくなります。
しつこい退職の引き止め対策:相談する
しつこい退職の引き止めの対策として、すでに同じ会社を退職した先輩や同僚に相談することも大切です。
同じ部署にいた退職者の実体験を聞くことで、より明確に退職までの計画を立てることができるためです。
上司からどのようなことを言われて引き止められたのかがわかれば、事前に対策を打つこともできます。
さらに引き継ぎに必要な具体的な期間もわかるため、上司に具体的な引き継ぎの計画を伝えることができます。
非の打ち所がない引き継ぎの計画や退職理由を提示すれば、会社側もしつこく引き止めることができなくなるでしょう。
しつこい退職の引き止め対策:退職届を準備する
しつこい退職の引き止めの対策として、退職届を準備しておき口頭で申し出る際に提出することが大切です。
先に口頭で退職の旨を伝えてしまうと、退職日を先延ばしにしてうやむやにされてしまうことがあります。
また退職日を伝えたとしても「そんなことは聞いていない」などと誤魔化されトラブルとなる場合もあるのです。
退職する意思や日時を証明するためにも、口頭で退職の旨を伝えると同時に退職日を記載した退職届を提出しましょう。
しつこい退職の引き止め対策:労働基準監督署
しつこい退職の引き止めに合わないようにする対策として、労働基準監督署へ相談しておく方法もあります。
労働基準監督署は法令違反が明らかになった会社へ指導をおこなう機関です。
どんな引き止められ方をされたら違法なのか事前に確認しておくと安心です。
また会社側も指導されることは避けたいため、執拗に引き止められている場合には「労働基準監督署にも相談している」という旨を伝えると有効です。
しつこい退職の引き止め対策:余裕を持って伝える
しつこい退職の引き止めに合わないためにも、余裕を持って退職を申し出ることが大切です。
それぞれの会社の規則で何ヶ月前までに申し出が必要かが決まっています。
そのため会社の規則に基づいた退職日を伝えることが大切です。
それだけでなく後任者がひとり立ちできるような具体的な引き継ぎ期間と計画も同時に伝えておくとスムーズに退職の旨を受け入れてくれる場合が多いでしょう。
しつこい退職の引き止め対策:家庭の事情を伝える
しつこい退職の引き止めに合わないために「家庭の事情」を退職理由とすることも一つの手です。
具体的には、「身内の介護」などを理由にすると良いでしょう。
個人的な問題で上司も踏み込んで聞きにくいため、退職をしつこいほどに引き止めるようなことは、まずしないでしょう。
踏み込んで聞いてくる場合でも「実はあまり状態がよくなくて…」などと返し、相手がこれ以上追求できない雰囲気をつくることが大切です。
本当に家庭の事情が理由の場合にも、退職のしつこい引き止めを避けることができるため、正直に伝えた方が良いでしょう。
しつこい退職の引き止め対策:繁忙期を避ける
しつこい退職の引き止めに合わないための対策方法として繁忙期を避けることも大切です。
繁忙期は、皆が忙しくただでさえ人手不足を感じる時期です。
そのような時期に欠員が出ることは絶対に避けたいため、あなたの退職をしつこく引き止めるでしょう。
さらに新入社員の採用にも手が回らない時期のためどちらにしても退職を先延ばしにされます。
快く受け入れてもらうためにも繁忙期を避けて退職の旨を伝えることが大切です。
しつこい退職の引き止め方別の対処法
事前に対策をしていたのにも関わらず、しつこい退職の引き止めにあってしまうこともあります。
退職の引き止めがしつこく困っている時の対処方法を詳しくご紹介します。
脅し
「損害賠償を請求する」「給料は支払えない」などと脅されて退職の引き止めがしつこいときには、2つの対処方法があります。
- 労働基準監督署へ相談する
- 法律相談事務所へ相談する
退職させないために脅してくる場合には労働基準法に違反しています。
そのため、法令違反する会社を厳しく指導する労働基準監督署へ相談すると問題を解決することができます。
もしも労働基準監督署がなかなか動いてくれないときには、法律相談事務所へ相談するのも手です。
会社側が認めないから退職できないというのは、法律に反しています。
そのため弁護士の先生を間に挟むことにより、法律に基づきスムーズに退職することができます。
不安を煽られる
「ここでやれなきゃどこへいっても続かない」「キャリアに傷がつく」などと不安を煽られてしつこいほどに退職を引き止める場合もあります。
あなたの退職理由が「なんとなくこの会社が嫌」などの抽象的な理由の場合、会社の言う通り、別の会社でも同じ理由で退職したくなってしまうことがあります。
そのため退職すれば解決できる問題かを今一度考えてみることも大切です。
ステップアップの転職や他の職種を希望している場合には、不安を煽られても進みたい道が明確である旨を伝え強い意思を持ちましょう。
情に訴える
「君はぜったいに伸びるのに」「期待していたのに」などと情に訴えるようなことを言われ退職の引き止めがしつこいこともあります。
気持ちが揺らいでしまうときには、どうして退職したいのかを思い返しましょう。
退職を考えるまでに至った決意を思い返し、意思を貫き通すことが大切です。
一時の感情に流され退職を考え直したとしても、時が経てば再び退職を考えはじめる場合がほとんどです。
再度退職を申し出るのは非常にやりづらいため、感情に流されないよう注意が必要です。
給料,待遇をよくすると言われる
「給料や待遇をよくする」と言われ退職の引き止めがしつこい場合もあります。
しかし、給与の査定は上司だけの判断で決められることではありません。
そのためこの言葉を真に受けてはいけません。
その場の口約束だけで有耶無耶されてしまう場合がほとんどです。
書面でのやりとりで具体的な金額や待遇を提示されない限りは信じない方が良いでしょう。
退職時期を先延ばしにする
具体的な退職日を提示していないとき、退職日を先延ばしにされる形でしつこい引き止めに合う場合もあります。
「もう少しやってみた方がいい」「あと3ヶ月働いてみた方がいい」と先延ばしにされたときは、次の就職先を決めてしまいましょう。
転職先の出社日を決めておくことで退職時期を先延ばしにされることもなくなります。
退職届を受理しない
会社側が退職届を受理しない手段でしつこい退職の引き止めにあっているときには次の対策をおこないましょう。
- 配達記録のつく内容証明郵便で送付する
- 労働基準監督署に相談する旨を報告する
退職届を一向に受理してもらえないときには、提出したことを記録として残す方法があります。
そのために、内容証明郵便で会社へ退職届を送り提出したことを証明しましょう。
それでも対応してもらえない場合には、労働基準監督署に相談することを伝えましょう。
会社側は指導されることを避けたいため、すぐに動いてくれるはずです。
部署の異動を持ちかけられる
他部署への移動を持ちかけられて退職をしつこいほどに引き止められる場合もあります。
もしもあなたの望んでいる部署への移動であれば退職を考え直すことも視野に入れて良いでしょう。
ただし注意点としては、絶対に口約束にしないことです。
確実に移動させてもらえる正式な書面を提示してもらってから検討する必要があります。
退職の引き止めがしつこい時に考えるべきこと
退職の引き止めがしつこい時、気持ちが揺らいだり、どのようなスタンスで上司と話し合いをすれば良いのかわからなくなったりする場合があります。
常に冷静な判断ができるよう退職の引き止めがしつこいときに考えるべきことを紹介します。
退職の引き止めは違法
まず念頭におきたいことは、「退職の引き止めは違法」ということです。
しつこい退職の引き止めは、時には情に訴えかけるようなことを言ってきたり、もしくは脅すようなことを言ってきたりする場合もあります。
そのようなとき会社に対して申し訳ないという罪悪感の感情を抱いてしまうかもしれません。
しかしあなたが罪悪感を抱く必要は全くもってないのです。
なぜなら労働者が自由に退職することは権利であり、退職の引き止めは労働基準法に違反しているためです。
むしろあなたは会社から迷惑をかけられている側なのです。
退職の申し出は当たり前の権利であることを認識し、強い意思で退職の旨を伝えましょう。
会社に残るメリットも考える
退職の引き止めがあまりにもしつこいときには、一度会社に残るメリットも考えることが大切です。
具体的には次のメリットがある場合もあります。
- 正式な給料アップや部署異動を打診された
- 退職理由となっている課題を解決したらキャリアアップを見込める
退職の申し出をして、給料アップや希望の部署への異動を正式な書面で打診された場合、残るメリットはおおいにあるでしょう。
転職先と同等かそれ以上の給料だったり、転職先と同等の職種への部署移動だったりする場合には、考え直した方が良いでしょう。
また現状退職理由となっている課題を解決したとき、大きなキャリアアップを見込める場合もあります。
時間とともに課題を解決できる場合もあるため、退職しなくてはならないほどの課題なのか今一度考えてみる必要があります。
トラブルを起こさないようにする
しつこい退職の引き止めでなかなか会社を辞められない場合でもトラブルを起こさないことが大切です。
なぜならあなたにとって不利に働いてしまうためです。
たとえば突然の無断欠勤などでトラブルを起こすと、退職でなく懲戒解雇として扱われてしまう場合があります。
転職活動で非常に不利に働くため、退職の引き止めがしつこい場合もトラブルを起こすことは避けましょう。
しつこい退職の引き止めに応じた場合
あまりにもしつこい退職の引き止めのとき時には気持ちが揺らいでしまうことでしょう。
退職の引き止めに応じてしまったときの問題を知り、冷静な判断を心がけましょう。
会社に居づらくなる
一度退職を申し出たのにも関わらずしつこい引き止めに応じてしまうと会社に居づらくなります。
退職の申し出をしたことが噂として広まったり、上司との関係が気まずくなったりする場合があります。
また給料アップや希望部署への移動を打診され引き止めに応じた場合、周囲から「特別待遇してもらっている人」という目で見られるのです。
会社の人間関係に悩み、結果として会社に居づらくなってしまう点も視野に入れて考え直しましょう。
再び退職の意思を伝えづらくなる
しつこい退職の引き止めに応じてしまうと、再度退職の意思を伝えることが難しくなります。
そのため現状の退職理由が何も解決しない場合は絶対に引き止めに応じるべきではありません。
また同じ理由で退職したくなるため、しつこいからという理由で退職の引き止めに応じるのはやめましょう。
退職の引き止めがしつこいまとめ
ここまで退職の引き止めがしつこい理由と、事前の対策方法、対策しても引き止めがしつこいときの対処方法などを中心にお伝えしてきました。
この記事のポイントをおさらいすると以下の通りです。
- 退職の引き止めがしつこい理由は会社側の都合
- しつこい引き止めに合わないためには強い意思と計画的な退職日の設定
- 退職のしつこい引き止めは違法行為
- 受理してもらえず脅される場合には労働基準監督署や法律事務所へ相談
これらの情報が少しでも皆様のお役に立てば幸いです。
最後までご覧いただき、ありがとうございました。