残業20時間はきつい?対処法を解説

仕事をする上で残業はつきもの。
日本人の平均残業時間が月47時間といった調査結果もあるなかで、月20時間(1日平均1時間)の残業は比較的負担が少ないと言えます。

しかし、どれだけ少ないとはいえ残業そのものがきついと感じる人も多いのではないでしょうか?
この記事では、なぜ残業がきついと感じるのか、なぜ残業が発生してしまうのか、といった疑問にお答えしていきます。

残業がきついと感じる場合の対処法についても解説しますので、ぜひ最後までご覧ください。

残業が多い職種・少ない職種

まずはじめに、残業が多い職種・少ない職種について見ていきましょう。
職種によって、残業時間に大きな差があることが分かるはずです。

職種別の残業時間を知ることで、一般的に20時間の残業がどれだけきついものか判断する材料になります。

多い職種

最も残業時間が多い職種は「設計監理/施工監理/コンストラクションマネジメント」で、残業時間は38.3時間。

次いで「プロデューサー/ディレクター/プランナー(出版/広告/Web /映像関連)」で32.5時間。

3位が「施工管理」で31.8時間となっています。

いずれも成果物を生み出す仕事で、締切がある場合が多いです。
つまり、終業時間になれば必ず帰れるというわけではなく、品質を担保しつつ納期を守る必要があるため、残業時間が長くなる傾向にあります。

少ない職種

では、残業時間が少ない職種と残業時間を見てみましょう。
最も残業時間が少ない職種は「秘書/受付」と「医療事務アシスタント」で10.5時間。

次に「営業事務アシスタントで」11.1時間となっています。
これ以降もアシスタント系の職種が多く、内勤職はリモートワークなどITによる業務効率化の影響を大きく受けていることが分かります。

残業20時間の人の1日の流れ

残業20時間の場合、1日の流れはどのようなものでしょうか。
例えば出社が9時、通勤は片道1時間、起床は7時ごろだとします。

通常業務8時間+休憩1時間に1日1時間の残業をしたとすると、退勤時間は19時。
帰宅時間は20時ごろになります。

23時に布団に入って、ゆっくり8時間眠って、翌朝7時に起床……と、ゆとりのある1日であると言えます。

残業20時間がきつい理由

前述のとおり、残業20時間は比較的ゆとりのある生活が送れますが、それでもきついと感じることがあります。
ここでは、その理由について解説をしていきます。

夜遅くまで仕事する

1日平均1時間とはいえ、やはり残業が発生すると夜遅くまでの勤務を余儀なくされることもあります。

1日のルーティンが崩れることは、後述するように多くのデメリットをもたらします。
残業がきついと感じるのは、ワークライフバランスの乱れが大きな要因です。

休日が少ない

1日1時間、均等に残業が発生するとも限りません。
20時間の残業が休日の前日に偏ってしまうことも有り得ます。

そうすると、課せられた仕事が定時に終わらず、休日に持ち越すことも。
休みを返上して仕事をしなければならないことは、心身ともにきついと感じるはずです。

自由に使える時間が減る

残業とは“時間外労働”なので、プライベートの時間を削って仕事をするということです。
プライベートを大事にしている人ほど、自由時間が減ってしまうことがきついと感じるでしょう。

自分の時間をしっかり取りたいと考えているのであれば、ノー残業を推進する会社への転職がおすすめです。

睡眠が取れない

残業が発生して帰宅時間が遅くなれば、睡眠時間も削られることになります。
心身の健康に適切な睡眠時間は不可欠です。

しっかりと睡眠が取れる環境でなければ、必ずネガティブな影響が出てくることでしょう。

用のない居残り残業

残業が当たり前、残業している人ほど頑張っている、といった前時代的な考えが蔓延した会社の場合、必然性のない残業を強いられることも。
すぐに終わらせる必要のない業務なのに残業を強いられる状況は、誰しもがきついと感じるはず。

身体的負担

残業時間が長くなれば、身体的な疲労は避けられません。

帰宅が遅くなり睡眠時間が削られると、体力の回復も難しくなるでしょう。
時間に追われて食生活が疎かになることも考えられます。

精神的負担

身体的な負担と同様に、20時間もの残業は精神的にも悪影響を及ぼします。
長時間の労働は精神も消耗する上に、場合によっては体力よりリカバリーが難しいことも。

きついと感じたら、無理せず定時で退勤するようにしましょう。

パワハラ

前述したように、残業が当たり前という意識を持つ人もいます。

そんな考えを持った上司から圧力をかけられれば、残業を強いられることもしばしば。
あなたの心身は疲弊していくことでしょう。

残業代を支払わないブラック企業

時間と心身を削って残業したにも関わらず、その対価が払われなければ徒労に終わってしまいます。
残業代も払わず、サービス残業をさせるようなブラック企業に長居してはいけません。

できるだけ早く転職先を見つけましょう。

残業が20時間になる理由

ここまで、なぜ残業がきついと感じるのかを解説してきました。
では、そもそもなぜ20時間もの残業が発生するのか。

ここでは、その理由について考えていきます。

労働力不足

残業が発生する最も大きな原因、それは人手が足りていないことです。
人手が足りなければ1人あたりの業務量が増え、必然的に残業せざるを得なくなります。

採用には費用や時間がかかるため、すぐに人手不足を解消することは困難です。

残業前提の企業

もはや残業が常態化してしまっている企業もあります。
20時間どころか、それを大きく上回るほどの残業を強いられることもあるでしょう。

こうした企業は旧来のオペレーションに固執し、業務効率化に取り組んでいないことが多いです。

残業月20時間が違法な場合

20時間の残業は、全職種の平均から見ても少ないほうです。
しかし、たとえ残業時間が短くとも法に抵触する場合もあります。

あなたが勤める企業が、ここで挙げる2つの項目に該当していないかチェックしておきましょう。

残業代が払われていない

労働基準法ではなく会社独自の基準で設定したルールで、残業の定義を曖昧にして残業代を払わない悪質な企業もあります。

もし労働対価が不当だと感じるようであれば、自社のルールがきちんと労働基準法に準ずるものか確認しましょう。

労働基準法の36協定に違反している

労働基準法36条に基づく時間外労働・休日労働に関する協定届を通称「36協定」といいます。
企業は労働時間について、あらかじめ労働組合や労働者の代表と協定を結び、労働基準監督署に届け出なければいけません。

もし、この協定をせずに時間外、休日労働をさせた場合は企業や経営者に罰則が適用されることとなります。

残業20時間がきつい時の対処法

残業20時間が少ないとはいえ、残業をすること自体がきついと感じる人もいるでしょう。

肝心なのは、自分自身が残業についてどう捉えているかです。
ここでは、残業がきついと感じた場合にどんな対処をすればよいのか解説していきます。

効率的に仕事をする

自分が抱えているタスクを見える化して整理すると、優先順位をつけやすくなります。
本当に残業をしてまでやらなければいけないのか、理論的に考えるようにしましょう。

そうすれば、自然と効率よく仕事を進められるようになります。

残業代を請求する

相応の対価が支払われなければ、残業に対してのモチベーションが上がりません。
賃金について会社に申し出ることを躊躇するかもしれませんが、正当な報酬を支払うようきちんと会社に請求しましょう。

転職を検討する

あらゆる手段を尽くしても残業が減らせないようであれば、残業が少ない会社に転職することも選択肢の一つです。
転職サイトやコンサルタントを使えば、残業時間を指定して会社を検索することも容易です。

上司に相談する

今の会社で労働環境の改善を図りたい場合、まずは上司に相談しましょう。
長年勤めてきた上司に、残業がきついことを正直に伝えれば解決の糸口となるアドバイスをもらえることがあるかもしれません。

弁護士に相談する

自分の置かれている立場や知識では判断できない場合、弁護士への相談も検討する必要があります。
相談料が気がかりであれば、まずは法テラスなど無料で相談できるサービスを使ってみてもよいでしょう。

労働基準監督署に相談

勤務先の労働基準法違反について労働基準監督署に報告すると、会社に指導勧告や立ち入り調査を行うことがあります。

ただし状況を具体的に説明するにあたって、あなたや会社の名前など実名を出さなければならない場合があるので、相談する前に十分検討する必要があります。

ストレス発散する

残業がきついと感じれば、次第に精神的なストレスが溜まっていきます。
そんなときは、趣味の時間を持つなど意識的にストレスを発散することも大事です。

気分転換することで、また仕事に前向きに取り組める可能性があります。

残業20時間の会社を辞める際のポイント

前述の対処をもってしても残業20時間では心身がきついと感じ、勤続が難しくなることもあります。
ここで解説するのは会社を辞める決断をした際におさえておきたいポイントです。

今後のキャリアを左右しますので、ぜひ全て目を通しておくことをおすすめします。

前もって退職の意思を伝える

退職を決めたのであれば、会社にはできるだけ前もって辞意を伝えておきましょう。
遅くとも退職の1か月前には伝えておくことがマナーです。

辞意も伝えずに唐突に退職をすれば、会社に損害と悪印象を与えることにもなりかねません。

あらかじめ転職活動を始める

転職はリスクも伴うので、退職する前にあらかじめ転職活動をしておきましょう。
会社を辞めてからの転職活動は無収入の期間が続くため、かえって精神的な負担が増すおそれもあります。

転職先の給料や待遇の条件を決める

転職にあたって最も重視することが、給料や労働時間など待遇の条件です。
20時間の残業がきついことを理由に転職したにも関わらず、転職先でさらに残業時間が増えては元も子もありません。

しっかりと転職先の情報を集めて、自分が望む条件の会社を選びましょう。

残業20時間がきつい人が知るべきこと

残業がきついと感じるのであれば、正当な残業代の計算や請求の方法、各種手当など、お金に関する知識を身につけておくことも必要です。

ここで解説することは、あなたの置かれている状況にきっと役立つことでしょう。

会社都合退職の失業給付

自主退職ではなく、会社の都合により退職を余儀なくされる場合、失業給付金(失業手当)を受けることができます。

まずは最寄りのハローワークに求職の申し込みを行ってください。
失業認定日を経たあと、年齢や勤務年数に応じた期間中に、所定の金額が給付されます。

傷病手当金

被保険者が病気やケガのために会社を休み、事業主から十分な報酬が受けられない場合に支給される手当が「傷病手当金」です。

残業による心が原因で会社を長期間休むことがあれば、全国健康保険協会に申請しましょう。
この手当も受給できる期間と金額が決まっているため、あらかじめ確認が必要です。

残業代の計算方法

残業代を正しく計算するためには1時間あたりの給料と、何時間残業したかを把握する必要があります。

原則、残業とは「週40時間、1日8時間」を超えた労働時間を指し、残業代は25%割増となります。
つまり、上記の労働時間を超えて20時間残業した場合、1時間あたりの賃金✕1.25✕20で算出された結果が正しい残業代です。

残業代の請求方法

前述の計算方法に基づき算出した結果、未払いの残業代があることが判明した場合、会社に未払い分を請求することができる可能性があります。

まずは勤怠情報や雇用契約書、給与明細など、事実を裏付ける証拠を揃えたのち、内容証明郵便を送り、会社に支払い交渉をしていきましょう。

残業20時間はきついまとめ

ここまで、20時間の残業がきつい理由やその対処法、残業代や手当についてのポイントなどを解説してきました。
この記事のポイントをまとめると以下のとおりです。

  • 残業はワークライフバランスを乱す原因となり、心身に悪影響を及ぼすことも
  • 残業を当たり前のものとして、場合によっては残業代を支払わない会社もある
  • 残業を減らすよう業務を整理して効率化することも必要
  • 状況が改善されない場合は第三者に相談、あるいは転職を検討すること

これらの情報が少しでも皆様のお役に立てば幸いです。
最後までご覧いただき、ありがとうございました。