残業45時間はきつい?対処法を解説

残業をしていると、会社にいる時間がいつもより長く感じることがないでしょうか。
勤務時間を数えてみると「1ヶ月の残業時間が45時間だった」という場合には、違法となることもありますので、自分の残業時間を把握しておく必要があります。

本記事では、残業45時間がきつい理由や残業と法律の関係性、残業代の請求方法などを説明しています。
45時間の残業がきついと感じた時の対処法にも触れていますので、ぜひ最後までご覧ください。

残業が多い職種・少ない職種

転職サイトdoda(デューダ)が、2021年の4月〜6月の3ヶ月の間で1万5000人を対象に、残業時間の調査を行いました。

その結果、1ヶ月あたりの平均残業時間が次のとおりとなりました。

  • 1番少ない職種が「秘書/受付・医療事務アシスタント」で10.5時間
  • 1番多い職種が「設計監理/施工監理/コンストラクションマネジメント」で38.3時間

1万5000人全体の平均残業時間は、20.8時間です。
この結果を見て、1番残業が多い職種でも1ヶ月あたり平均38.3時間の残業となりますので、45時間の残業はきついものだと考えられます。

多い職種

1ヶ月の残業時間の多い職種は、1〜3位が以下のようになります。

  • 1位「設計監理/施工監理/コンストラクションマネジメント」38.3時間
  • 2位「プロデューサー/ディレクター/プランナー(出版/広告/Web /映像関連)32.5時間
  • 3位「施工管理」31.8時間

上位の建設関係の残業時間が多い理由の1つとして、天候に左右されることが挙げられます。
建設や工事の現場では、工事の行われる期間が決められており、期間内に工事を終わらせなければいけません。

天候が悪く仕事が出来なければ、天気の良い日に出来なかった分を補う必要があるので、必然的に残業が多くなります。

少ない職種

逆に、残業時間の少ない職業は以下のようになっています。

  • 1位「秘書/受付」10.5時間
  • 2位「医療事務アシスタント」10.5時間
  • 3位「営業事務アシスタント」11.1時間

この結果を見ると、アシスタント業務の残業時間が少ないことが分かります。
アシスタントの仕事内容は、職員をサポートすることなので、業務は多岐にわたります。

ですが、書類整理やデータ入力などの作業が多く、PCの技術力を上げることで仕事の効率化が図れます。
自分の努力や技術次第で、業務時間内に仕事を終わらせることが可能なので、残業時間が少ない傾向にあると推測されます。

残業45時間の人の1日の流れ

1ヶ月に残業を45時間している人は、一体どのような1日を送っているのでしょうか。
残業を45時間にするためには、1ヶ月の出勤日数を22日と仮定した場合、21日間が2時間、残りの1日間が3時間となります。

分かりやすくするために、1日2時間の残業をする人の1日の流れを時間に沿って見てみましょう。

  • 7時     起床
  • 7時~8時   準備
  • 8時     通勤
  • 9時~18時  就業(休憩や昼食の1時間を除く、1日8時間の勤務とした場合)
  • 18時~20時  残業(2時間)
  • 21時     帰宅
  • 21時~22時  夕飯・お風呂・家事
  • 22時~23時  自由
  • 23時     就寝

家に帰り着く時間が21時ですので、食材を買いにスーパーに行ったり、手料理の晩御飯を毎日作ることは負担になります。
また、小さい子供がいる家庭は一緒に晩御飯を食べたり、遊んであげることが難しいかもしれません。

十分な休息をとるために睡眠時間を8時間にすると、自分に使える時間がたったの1時間となってしまいます。
残業を45時間する生活が、いかにきついことであるか容易に想像できます。

残業45時間がきつい理由

労働基準法第36条に基づく「36(サブロク)協定」を会社と労働者が書面で締結し、労働監督署に提出をし容認されると、会社は労働者に対して残業を命ずることができます。

36協定で認められる可能な残業時間は以下のとおりです。

  • 1ヶ月45時間まで
  • 年間360時間まで

先ほど挙げた1日の生活の紹介例は、毎日2時間の残業を行った場合なので、ほんの一例に過ぎません。

普段は残業が無くても、繁忙期には残業時間が極端に多くなることで生活のリズムが乱れ、身体や心に負担を掛けてしまうこともあります。
ここでは、45時間の残業がきつくなる理由を9つ紹介します。

出典:厚生労働省【労働基準法(◆昭和22年04月07日法律第49号) (mhlw.go.jp)」】【H29_karoushi_16p_2017.8_nyuko_ol (mhlw.go.jp)

夜遅くまで仕事する

1日に2時間の残業をするだけでも、帰宅時間が21時頃なので夜遅くまで仕事をすることになります。
普段は残業が無い会社でも、繁忙期を迎えると1日の残業時間が2時間を超えるような過酷な勤務になることもあります。

これでは自分に使える自由な時間はほとんどなく、家には寝るために帰るだけという生活を送ることになります。
ですが、会社と労働者が36協定を書面で締結していれば、1ヶ月で45時間の残業が認められるので違法ではないのです。

休日が少ない

残業を1ヶ月に45時間するということは、休日を返上して勤務をする可能性があります。
休日には労働基準法で定められた「法定休日」と、会社が定めた「所定休日」があります。

所定休日に1日8時間を超える勤務、または所定休日の勤務時間を含めた1週間の勤務時間が40時間を超えた場合には、残業扱いとなります。
休日は自分や家庭を優先したいはずなのに、残業45時間の生活を送るとなると休日を返上する可能性が高くなります。

自由に使える時間が減る

毎日2時間の残業をした場合には、自由に使える時間が1時間しかない計算になります。
自由時間を増やすために、夕食やお風呂の時間をなくすことは厳しいですし、1時間を趣味に費やすにも出来ることが限られてきます。

残業をする分家族や恋人、友人と一緒に過ごす時間も減ることになるので、プライベートが充実しているとは言い難いです。
残業を頑張った分残業代がつくので、金銭面では安心が増えますが、引き換えに犠牲にするものもあるかもしれません。

睡眠が取れない

繁忙期のある会社に勤めている方や緊急事態に対応する職種の方は、残業時間が一定ではなく、かなり遅くまで残業をする可能性もあります。

残業時間が45時間になると、残業を遅くまでして次の日も普通に出勤をするという生活もあります。
この生活が続くと、必然的に睡眠時間が削られ心身ともに負担がかかります。

アメリカのペンシルベニア大学とワシントン大学が2003年に発表した研究結果では、睡眠時間が削られると仕事のパフォーマンスが下がることが分かっています。

この研究で「6時間ほどの睡眠が2週間続くと、2日間徹夜をしたことと同じになる」ことが分かりました。
過度な残業をして睡眠を削っても、いい仕事には繋がらないということです。

用のない居残り残業

上司の仕事量が多く、部下に仕事が回ってきたときには就業時間を過ぎていたという事例もあります。
上司に「急ぎだから」と言われてしまえば、部下は残業をしてでも仕事を終わらせることになります。

定時に帰れるように、上司が采配出来ると部下も働きやすいのですが、上司も抱えている仕事量が多いと気が回らないのです。
部下はいつ仕事が回ってくるのか分からずに、用もないのに居残り残業をしていたという悪循環が生まれます。

身体的負担

1ヶ月に100時間、2〜8ヶ月の間で平均80時間の残業をすると過労死(脳・心臓疾患)のリスクが高まると厚生労働省が定義しています。

ですが、1ヶ月に45時間の残業をする場合でも、仕事が終わるまで残業をしていたら日をまたいでいたという場合もありますので、身体的な負担は大きいはずです。

そのような生活を送っていたら疲れがたまり、休息の時間もなく働くことになるので、病気になるリスクも高まります。
過労死ラインに届いていないから大丈夫と考えるよりも、自分がきついと感じたら積極的に休息をとるべきです。

精神的負担

残業をすることへの負担は身体的なものだけでなく、精神的な負担もかかります。
過労死の定義には「業務における強い心理的負荷による精神障害を原因とする自殺による死亡」というものがあります。

残業時間が多すぎる、残業を強要されて断れないという環境は、うつ病を招く原因になり、最悪な場合には自殺まで追い込まれるという可能性があります。
精神的な負担がかかり、自分が壊れてしまう前にリフレッシュをしたり、メンタルクリニックを受診するなどのアクションを起こしましょう。

パワハラ

いまだにパワハラ思考が根強く残っている会社もあり、残業を強要させられることもあります。
コロナ化以前は、日々の残業に加え飲み会への参加を強要されることもあり、会社を辞めたいと感じる声もありました。

残業後に飲み会をするということは、自由な時間や睡眠時間を奪うだけでなく、賃金すら発生しません。
これでは会社へ行くこともつらくなり、辞めたいという考えに至るのは当然なことと言えます。

残業代を支払わないブラック企業

企業は労働基準法に従って、労働者に残業代を支払う必要がありますが、法律を上手にかいくぐって残業代を支払わないブラックな企業も存在するのです。

自分が残業を多くしているにも関わらず給料が少ないと感じた場合には、正当に給料が支払われていない可能性もありますので、自分で詳細を確認してみてください。

自分の労働に対して、正当な支払いがないことはストレスがたまるので、労働者を大切にしないブラック企業には早めに見切りをつけましょう。

残業が45時間になる理由

残業が45時間になってしまう理由として2つ挙げます。

  • 会社の労働力不足
  • 残業前提の企業がある

どちらも企業の努力次第で改善できるのですが、なかなか改善できていない企業も多くあるように感じます。

この2つの理由を詳しく見ていきましょう。

出典:厚生労働省【労働基準法(◆昭和22年04月07日法律第49号) (mhlw.go.jp)

労働力不足

単純に考えて人手が足りないほど、一人が抱える仕事量が増えることになるので、残業をしないと仕事が終りません。

逆に人手が足りていたとしても、仕事を効率よく進めることが出来る人が少なければ、出来る人に自然と仕事が回ってしまいます。

仕事が出来る人は他の企業も欲しがる人材ですので、次の仕事も見つけやすく、早々と辞めてしまうこともあります。

結果的に人手不足となり、残業しなければ仕事が終わらないという負のループに陥りやすいのです。

残業前提の企業

昔ながらの考えが強い企業は、残業をすることが当たり前だと考えている可能性もあります。
残業45時間なんて当然という考えが強ければ、部下にも同じような教育をするはずです。

「自分たちの若いころはもっと働いていた」と過酷な労働環境を自慢するような企業は、いい人材も離れていくことでしょう。

残業月45時間が違法な場合

1ヶ月の残業時間が45時間を超えていると違法になる場合があり、該当した企業には労働基準法に従って罰せられる可能性があります。

違法となるケースは以下のとおりです。

  • 残業をしているのに残業代が払われていない
  • 労働基準法の36協定に違反している

労働者本人も残業時間を把握していなくて、企業が罰せられてしまうということもあり得ますので覚えておきましょう。

出典:厚生労働省

残業代が払われていない

労働者が残業をしたのに、企業から残業代が払われていないと違法になります。
労働基準法第37条により、企業は労働者に対して残業を命じた場合、残業代を支払う義務があると定められているのです。

企業が支払いを怠った場合には、労働基準法第119条により「6ヶ月以下の懲役または30万円以下の罰金に処される」可能性があります。

労働基準法の36協定に違反している

企業は労働者に対して残業を命ずるために、あらかじめ企業の過半数を占める労働者と36協定を結んでおく必要があります。

36協定では1ヶ月に45時間、年間に360時間を残業時間を上限としているので、この時間を過ぎて残業を命じた場合には違法となります。
ただし、残業が45時間を超えても違法にならない場合があるのです。

労働基準法第36条5項の中で36協定には「特別条項」というものがあり、特別な事情がある場合には1ヶ月の残業時間を45時間以上に増やすことが出来ると記されています。

ここでも企業は特別な事情を明確にし、労働者と「特別条項付きの36協定」を締結する必要がありますので、締結せずに残業を命ずると違法になります。

残業45時間がきつい時の対処法

残業が45時間もあるときつく感じるのは当然なことで、1日2時間と考えると大したことのないように見えますが、積もり積もれば大きな負担となります。

残業時間が多い生活がきつくても、簡単には仕事はやめられませんよね。
会社を辞めるという選択肢をする前に、働きやすくする対処法がいくつかありますので、7つにわけて紹介します。

出典:厚生労働省【職場の安全サイト】【せっかくの機会ですので、職場におけるトラブルを予防する観点からも、 (mhlw.go.jp)

効率的に仕事をする

当たり前のことに感じますが、効率的に仕事ができると残業時間を減らせることにつながります。
効率的に仕事をするためには、自分の技術を上げることが近道になるのではないでしょうか。

例えば、PC作業が必須な仕事ではPCの技術を覚えると作業の効率化に繋がります。
勉強する時間の確保が難しい場合には、SNSでExcelのショートカットキーや作業の効率化をまとめている情報もありますので、一度見てみるのも良いでしょう。

残業代を請求する

残業をしているのに残業代が支払われていない場合には、会社に請求しましょう。
会社が残業をすることが当たり前という考えだと、妥当な残業代が支払われていない可能性があります。

本来ならあってはいけないことですが、残業代を請求されて初めて残業代を支払う必要があることに気づく会社があるかもしれません。そのためにも、自分の残業をした時間の把握や残業代の計算方法を知っておく必要があります。

転職を検討する

残業を45時間することで、身体的・精神的な負担がかかり、人生の貴重な時間を棒に振る可能性もあるのです。

家計を支えている方や重要な地位についている方など、転職をすることは容易なことではないかもしれませんが、人生は一度きりなので思い切ることも大切です。

転職をすることは一大決心ですので、求人情報の条件の確認やハローワークでの口コミなどを細かく確認する必要があります。

厚生労働省のHPから「職場のあんぜんサイト」に入っていただくと、厚生労働省の厳しい条件をクリアした優良企業を紹介していますので、参考にしてみてください。

上司に相談する

残業がきついと感じる方は、一度上司に相談をしてみると残業時間を減らすことが出来るかもしれません。

上司自身も膨大な仕事量を抱えている場合が多く、忙しさのあまり部下の残業の把握まで手が回らないこともあります。
働き方改革が積極的に勧められている流れですので、この流れに乗って相談をしてみると上司も早めに検討してくれる可能性があります。

弁護士に相談す

「会社に伝えたけど適切な残業代を支払ってもらえない」「残業時間を減らしてほしいけど、直接交渉は億劫だ」などという場合には、弁護士に相談するのも一つの手です。

弁護士に相談すると、自分でしなければならない残業代の請求手続きを代わりにしてもらえます。
残業代の請求には時効があり、さかのぼって請求をするとなると正確に計算をする必要があり、手続きも容易ではありません。

残業をうやむやにされるブラック企業にお勤めの方も、専門知識が豊富な弁護士に相談することで、悪質な環境が変わる可能性も増やせることでしょう。

労働基準監督署に相談

労働者の味方になってくれる「労働基準監督署」に相談することで、労働基準法に違反をしている会社を取り締まってくれます。

労働基準監督署へ相談をするメリットとして「匿名で相談できる」ことが挙げられます。
直接上司へ相談をして後々の関係が悪くなったり、弁護士を挟むことで会社に居づらくなるという心配を減らすことが出来ます。

ただ、労働基準監督署が動くには時間がかかることがありますので、早急に対応が出来ないところがデメリットとなります。

ストレス発散する

ストレス発散をすることで、残業のきつさを乗り切ることも対処法の一つです。
会社を辞めたいと思ってもすぐに辞めることは出来ないので、身体を動かしたり映画を見たり、自分の好きなことをする時間を作ることもおすすめです。

ただ、45時間もの残業をしているということはプライベートな時間が少ないという生活を送っているはずです。
ストレス発散だけでは補えないきつさがある場合には、自分を優先する選択肢を持ちましょう。

残業45時間の会社を辞める際のポイント

「残業45時間がきつい、仕事を辞めたい」と思っても就業規則があったり、引継ぎがあったりして会社をすぐに辞めることは出来ません。

会社を辞める際には例外はありますが、基本は会社が労働基準法に基づいて作成した「就業規則」に従って辞める必要があります。

誰しもが会社とトラブルになったまま辞めることは避けたいはずですので、会社を辞めることを考えている方は、次の3つのポイントを意識して行動をしてみてください。

出典:厚生労働省【ハローワークインターネットサービス – 雇用保険の具体的な手続き (mhlw.go.jp)

前もって退職の意思を伝える

残業を45時間もする生活がきつく、辞めたいと考えたときに会社に辞める意思を伝えても、すぐには退職出来ないのが現状です。

雇用される前に「辞める時には〇か月前に、辞める意思をお伝えください」と言われたことはないでしょうか。

退職する1ヶ月〜3ヶ月前に意思を伝えることが一般的となっていますが、会社の就業規則によって異なりますので確認をしてください。

例外として、民法627条によって辞める意思を伝えた2週間後に退職することは可能ですが、円満退職するためにも退職への行動は計画的に行いましょう。

あらかじめ転職活動を始める

退職をする前に、次の職を探すことも大切になっていきます。
当たり前のことですが、退職をした次の日から給料は発生しませんので、その後の生活をどうするかを考える必要があります。

自己退職の場合には「失業手当」は原則、退職した後にハローワークに申請をしてから2ヶ月後に支給されます。
求職活動を2回以上行うことも失業手当をもらう条件の一つになるので、覚えておきましょう。

転職先の給料や待遇の条件を決める

次の転職先できつい残業はしたくないという方は、求人情報の確認をしっかり行う必要があります。

  • 休日の日数が少ない
  • 長い期間、求人サイトで募集をかけている
  • 採用予定人数が多すぎる

厚生労働省が発表している平均的な年間の休日日数の平均は116日となっています。

休日の日数が極端に少ない会社は、残業をすることも前提に考えている可能性もありますので、注意が必要です。

また、求人サイトを見ていると長い間募集をかけている企業を見ることがあります。
一概には言えませんが、このような企業は評判が悪い場合がありますので、一度ハローワークに企業の評判を聞いてみることをおすすめします。

採用予定人数を多く設定している企業も同じように、辞める人が多くなることを前提に採用の予定人数を増やしている可能性があります。

残業45時間がきつい人が知るべきこと

45時間の残業をしていてきついと感じている方は、自分の置かれている環境を変えたいと感じているはずです。
今の過酷な環境をより良い方に導くためにも、知っておくべきことがいくつかあります。

  • 自己退職でも、条件付きで「会社都合の退職」になることがある
  • 病気や怪我で仕事が出来ない健康保険加入者は「傷病手当金」が支給される

自分を守るためにも大切な情報になりますので、残業45時間がきついと思う方は必ず目をとおしてください。
退職をする際に残業代が未払いだったということもありますので、残業代の計算と請求方法を確認をしておきましょう。

会社都合退職の失業給付

自己都合の退職をした場合でも、条件付きで「会社都合退職」になり早めに失業給付金を受給出来ることがあります。
会社都合の退職が認定されるには、厚生労働省が定めたいくつか条件があるので、説明します。

  • 離職をする直近6ヶ月の間に45時間以上の残業が3ヶ月連続した場合
  • 1ヶ月の間に100時間を超える残業をした場合
  • 2~8ヶ月間の平均残業時間が80時間を超えた場合

上記の条件を満たすと会社都合退職となり、退職して手続き完了後、最短7日間で失業給付金を受給できます。

手続きにはタイムカード、賃金台帳、給与明細書などを用意する必要がありますので、事前に確認をしておきましょう。

出典:厚生労働省【特定受給資格者及び特定理由離職者の範囲と判断基準

傷病手当金

病気や怪我が原因で仕事が出来なくなった時には、健康保険に加入している人は「傷病手当金」を請求することが出来ます。

傷病手当金の申請が承認されると給料の約3分の2が支給されるので、生活への不安も軽減することが出来ます。
傷病手当金をもらうためには、以下の4つの条件をクリアする必要があります。

  • 業務外の病気やケガで療養中であること
  • 療養のため働くことが不可能であること(医師の診断書が必要)
  • 4日以上休んでいること(休日を含む)
  • 給与の支払いがないこと

上記の条件を満たし、退職日からさかのぼって1年以上健康保険に加入をしていれば、傷病手当金の手続き承認後に退職となっても受給を続けることが出来ます。

残業代の計算方法

残業代の未払いがあることが判明することがあるかもしれませんので、その時のためにも残業代の計算方法を知っておきましょう。

月給 ÷ 1ヶ月の通常勤務時間 × 1.25(25%) × 残業時間 = 残業代
※残業時間の割増賃金率は通常時給の25%増で計算をします。

【月給20万円の人が、1ヶ月45時間の残業をした場合】
※1日の勤務時間を8時間とし、1ヶ月に22日勤務したことを想定しています。

20万 ÷ 176時間 × 1.25 × 45時間 = 6万3920円(端数切捨て)

1ヶ月に45時間残業をした場合には6万3920円の残業代となります。

残業代の請求方法

残業代が計算出来たら、次に残業代を企業に請求する流れになりますので、手順の確認も必要です。

【請求手順】

  1. 在職中の場合には会社と直接交渉
  2. 退職後に未払いが判明した場合には「内容証明郵便」で請求
  3. 請求の返答が企業から無い場合には、労働基準監督署に報告(証拠を必要とする)
  4. 話し合いで解決しない場合には、労働審判で請求
  5. 解決しない場合には訴訟を申し立てる

以上が簡単な請求手続きの流れとなりますが、請求するまでには残業をした確かな証拠を集める必要があり、請求にかかる労力は計り知れないものがあります。

残業45時間はきついまとめ

ここまで残業45時間がきつい理由やきつく感じた時の対処法、残業代の請求方法などを中心にお伝えしてきました。
この記事のポイントをおさらいすると以下の通りです。

  • 1ヶ月に残業を45時間すると自由な時間は少なく、身体的・精神的な負担が多くなる
  • 残業45時間が違法となる場合がある
  • 残業45時間がきついと感じたら色々な対処法を試す
  • 残業がきついと感じたら退職を視野に入れて、受給できる給付金の種類や残業代の計算・請求方法を知っておく必要がある

これらの情報が少しでも皆様のお役に立てば幸いです。
最後までご覧いただき、ありがとうございました。