「月の残業が40時間なんてありえない。。。」
こんなはずじゃなかったのに、と非常に悩んでいる方はいまだに多くいらっしゃいます。
一昔前には、月の残業時間が40時間以上あることが一般的でした。
ブラック企業という言葉が世間で流行り数多くの企業が問題視され、徐々に改善してきているのが日本全体を通しての現状です。
しかしながら、いまだに残業40時間以上を定期的に繰り返す、ありえない企業がいることもまた事実となっています。
この不当な残業時間で悩んでいる方の解決のヒントや対応策についても触れているので、ぜひ最後までご覧ください。
残業40時間はありえない?
残業40時間はありえない?という疑問について、法律を交えながら実際は適法なのか違法なのか要点をまとめてお伝えさせていただきます。
平均的な残業時間
まず初めに日本人の平均的な残業時間についてです。
厚生労働省が定期的に調査している毎月勤労統計調査(2022年8月)では、残業の平均時間は9.5時間となっています。
多くの業界で月の残業時間が10時間未満となっています。
しかしながら、政府の調査結果に反し残業40時間以上の方が世の中には多くいるというのも事実です。
実際に残業40時間以上させる企業は健全なのかを法律を交えてお伝えします。
36協定とは
36協定とは何かご存知でしょうか?
サブロク協定と呼ばれ、企業と労働者(労働組合)の間で36協定が結ばれている場合には、年間360時間、月45時間まで残業が認められています。
36協定とは、労働基準法に則り、法定労働時間である1日8時間・週40時間を超えて働けるように例外的に認められるための協定となります。
従業員に残業をさせるためには、この36協定を結び労働基準監督署に届け出る必要があるため、残業が一切ない企業を除き、多くの企業で結ばれている協定となります。
残業の上限時間
さきほど、36協定により月45時間まで残業が認められているとお伝えしました。
パッと見では、「ああ、じゃあ法律上、普通のことなんだ。」と肩を落としてしまった方、もう一度上記の36協定の箇所を読んでみてください。
36協定では年間360時間、月45時間まで残業が認められているとお伝えしました。
年間360時間とは、12ヶ月で割ると、月30時間です。
ということは、残業40時間が何ヶ月も継続することや常習的に長い残業が続くことは明らかに基準値以上となります。
法律上から見ても、残業40時間はありえないと感じてしまうレベルに達していると言えます。
残業40時間がありえないと感じる理由
残業40時間とは、基準値以上に残業をさせられている可能性が高く、ありえないと感じるのも無理はありません。
残業40時間がありえないと感じてしまう理由について要点をまとめていきたいと思います。
プライベートの時間が減る
とても大切なこととして、1番目に挙げるのはプライベートの時間が減るということです。
1日2時間や3時間など残業が増えるほど、平日(出勤日)にプライベートな時間をとることは難しくなってきます。
家族と夕飯を食べることや友人と居酒屋に行く時間も大きく削られていきます。
家族を犠牲にし、友人と親交が減り、何のために働いているのか悩む日々もあるかもしれません。
生活するために働く必要はありますが、はたして、ただ生きていくためだけに働くことに意味はあるのでしょうか。
精神的・身体的影響
働く時間や残業時間が増えれば、精神的にも身体的にも非常に苦しいものがあります。
残業40時間を繰り返し繰り返しさせられていくなかで、ありえないなぁという感情も生まれてくると思います。
働きすぎにより心身のバランスが崩れ、体調が崩れやすくなったり、肌荒れが悪化するというのもよく起きる現象です。
精神的にも身体的にも影響を大きく与え、場合によってはニュースでも時折取り上げられるように、取り返しのつかない状況になることもあります。
残業代がもらえるのはメリット
残業40時間はありえないと客観的にお伝えすることができますが、唯一良い側面もあります。
それは残業代がもらえるということです。
残業代だけで毎月数万円の上乗せがされているはずなので、もし来月から残業40時間が10時間に減ってしまったら給料がその分大きく下がることになります。
普段からあまり貯金をせずに毎月入ってきた分だけ使っている人には、残業時間が減ってしまうというのは逆に生活を苦しめる原因になるかもしれません。
残業時間が40時間を超える原因
なぜ残業時間が40時間を超えてしまうのでしょうか?
プライベートや家族との時間を奪ってしまうありえない会社、そんなありえない状況が頻発してしまう原因についてまとめてみたいと思います。
人員不足
まず第一に考えられるのが、人員不足によって残業40時間というありえない状況になっている可能性です。
仕事や作業量が多いにもかかわらず、物理的に人員が少なければ、一人一人が担当するべきタスクが増えていきます。
残業が当たり前の会社
残業40時間がありえないと感じない上司や人が集まる会社では、残業が当たり前になってきます。
定時が規定通りではなく、私用で帰宅することも許されない雰囲気の職場も未だに存在します。
定時間際にもかかわらず、あと3時間は時間が必要そうな仕事を割り振られるなど、残業が当たり前となっている証拠です。
組織のレベルが低い
根本的に組織のレベルが低い場合には、残業40時間という長くありえない状況が起こりえます。
組織の意識が低く、定時までに仕事を終わらせる気持ちが少ない方が多い職場であったり、
技術やスキル的に未熟な部分が多く、どうしても残業せざるをえない職場もあるでしょう。
技術やスキル的な面でレベルが低い場合には、自動化やテンプレート化など改善によって残業時間を減らせる場合もあります。
組織の意識レベルが低い場合には、どれだけ改善しようとご自身が努力しても、周りから白い目で見られるだけで何も改善しない可能性が高くあります。
繁忙期
多くの仕事で繁忙期というものが存在します。
通常期や閑散期では、現在の人員やレベルで充分という職場であっても、残業40時間以上しなくてはいけないような繁忙期が頻繁にくる場合は非常に辛いものがあります。
しかしながら、一時的にパートや契約社員を雇うなどの対応ができれば改善に向かう可能性があります。
ご自身で改善できることが少なく、上司や役員の方の判断で改善を期待するしかありません。
残業40時間がありえないと感じる際の対処法
残業40時間のありえない状況をいつまでも放置しておくわけにはいきません。
会社や周りの人間を変えることができれば一番良い形かもしれませんが、そう簡単なことではありません。
そういった場合に、残業40時間をさせてしまう会社に対して対処できる方法をお伝えしていきます。
転職を検討する
残業40時間のありえない会社にいつまでも固執せずに、転職を検討します。
空白の期間ができてしまうと生活が苦しくなる場合もありますので、できれば早いうちから転職先企業のリストアップやリサーチを始めると良いでしょう。
もし退職をする場合には、転職先が決まってから今の会社を辞めるほうが生活費的にも安心して辞めることができます。
副業を始める
いまの給料だけではなく第2の柱を確立するという方法もあります。
副業を始めるうえで、残業40時間というありえない仕事時間の場合には、なかなか時間をとることが難しいかもしれませんが、少しずつ始めてみるのも良いかもしれません。
月に数万でも稼げるようになれば、今の仕事をやめて全時間を費やせるようになったときに、どれくらいの金額が稼げるのか概算を出すこともできるようになります。
余裕をもって退職の意思を伝える
状況にもよりますが、余裕をもって退職の意志を伝えましょう。
急な退職は、引き継ぎや周りの方に迷惑を掛ける場合もありますので、少し先の退職時期を伝えるのが一般的となっています。
会社の就業規則により1〜3ヶ月前に告知するなどルールが会社によって違うので必ず事前に確認しておく必要があります。
退職代行を検討する
退職を伝えることは、非常に気持ち的にも体力的にも疲れる作業です。
何か嫌なことを言われたり、執拗に引き止められてしまう可能性もあります。
直接伝えても説得させられて、結果的に退職できないということがないように退職代行のようなプロに相談してみるのも一つの手かもしれません。
ハローワークを検討する
ハローワークとは公共職業安定所といい、厚生労働省が管轄する機関です。
地域ごとにハローワークは点在しており、職業紹介だけではなく、法令や制度についての相談窓口もあります。
残業40時間というありえない状況を踏まえて次の職場を探してくれる場所でもあるので、悩んでいる方は一度相談にいっても良いかもしれません。
転職する際のポイント
現状置かれている残業40時間というありえない状況を打破するために転職を検討する方も多いと思います。
そこで残業が少なく、働く環境の良い職場に転職するためのポイントをお伝えしていきます。
転職サイトに登録する
まず最初に行うことは転職サイトに登録するということです。
数多くの転職サイトがありますが、なかには専門職限定の転職サイトもあります。
例えば、看護師限定の転職サイトや保育士に特化した転職サイトなどです。
ご自身の経験によっては限定的な求人を掴めるチャンスかも知れませんので、一度調べてみることをおすすめします。
場合によっては、職業的に残業40時間というありえない状況が頻繁に起きてしまいやすい業種の場合もあるので、今までとは違う職種に転職する方が好転する可能性もございます。
キャリアアドバイザーに相談
キャリアアドバイザーとは転職を希望する方に対して、転職成功までのサポート業務を行う方です。
給与条件や労働条件の交渉や、転職先企業が残業40時間を超えるようなありえない企業かどうか等を専門家としてアドバイスをくれる場合もあります。
退職に関する交渉についても行ってくれる場合もあるので、これから退職の旨を伝える場合には、一度キャリアアドバイザーの方に相談してみてください。
口コミを見る
転職サイトや求人を眺めていると魅力的な企業がたくさん出てきます。
しかし、記載してある内容と実際の現場では言っていることが全然違うということが起きる場合があります。
企業の口コミサイトやGoogleで企業名を検索するとGoogleレビューが付いていることもありますので、他の方の意見を参考にするのも非常に重要です。
給料や待遇を決める
転職をする上で、給料や待遇など条件面を決めることは非常に大切です。
自分や家族が生活していくなかで、これだけは外せないという条件を決めておくと判断のしやすさが上がります。
残業40時間のありえない職場で働いてきた方からすると、残業がなくなるだけでも充分魅力的かもしれません。
しかしながら、転職は今後の人生を大きく左右することなので、金銭面だけではなく福利厚生や制度が完備されているかなど細かい箇所も確認しておくことが重要です。
実際に社員に聞く
Web上で検索をしたり、キャリアアドバイザーの方から意見をもらうだけでも充分に情報を得られますが、最も効果的な方法が実際の社員に聞くということです。
あくまでも外側からしか見ることしかできないため、実際の社員の方に話を聞ければ内情を知ることができます。
ご自身の友人やキャリアアドバイザーの方が過去関わった人などでいるかもしれませんし、SNSなどで検索をして探して見つかる場合もあります。
残業時間を減らす工夫
ここからは残業時間を減らしていき40時間というありえない状況を解決する方法について考えられることをお伝えしていきます。
優先順位をつける
残業40時間というありえない状況から少しでも改善する方法として、優先順位をつけて仕事をこなしていく方法があります。
物理的に不可能という場合もありますが、可能な場合には緊急のタスクや重要なタスクとそうではないタスクという形で優先順位をつけていきます。
優先順位が高いものから順々に手を付けていき、疲れてきた後半には簡易なものや優先順位が低いものにするなどして効率的に仕事を進めていきます。
相談する
残業時間に対して相談することはもちろんですが、自分に降りかかっている精神的・身体的な影響も踏まえて相談してみると改善される場合もあります。
相談する相手毎にどんなことを伝えればいいか紹介させていただきます。
上司
まず相談することで最も解決に繋がりやすいのが上司です。
残業40時間というありえない状況に対して、残業時間を減らせないかという相談はもとより、今ある業務で削れる箇所の提案も踏まえて現実的な話をするほうが効果的です。
感情的になったり上司に対して怒りをぶつけてしまうと、今後に支障をきたす場合もあるため注意が必要です。
人事
順番的には、上司に相談をした上で、解決が難しい場合には人事に相談していきます。
人事の方は会社にもよりますが、他部署で状況や実情がわからないという場合もありますので、客観的な事実をベースに相談するほうが効果的に話が進みます。
残業40時間というありえない状況が続いている現状や、仕事の割り振りのされ方など、他部署の方でも分かるレベルで伝えなくては聞き入れてもらえない場合があります。
家族・親友
残業40時間というありえない労働環境の中で、一人で悩み続けることは非常に危険です。
家族や親友に迷惑をかけないようにと黙っていることもできますが、一度相談してみることをおすすめします。
状況の改善に繋がりやすいというよりは、ご自身の肩の荷が少し降りたり、気持ち的に少し楽になる場合があります。
労働基準監督署
上司や人事に相談しても解決が一向にされない場合には、最終手段として労働基準監督署に相談するという方法があります。
冒頭でお伝えした36協定により、残業40時間が継続的に発生することはありえない状況となっていますので、外部に相談する必要が出てきます。
労働基準監督署への相談は、電話相談も承っていますので、話を聞いてみることでどういった対策がとれるかなど専門的な知識を得ることができます。
1人で抱え込まない
残業40時間というありえない状況が続くと、精神的にも身体的にも非常に疲弊してきます。
真面目な方ほどこういったつらい状況を一人で抱え込んでしまいがちです。
しかし一人で抱え込んでしまうと、どこかのタイミングで爆発して取り返しのつかないことになってしまう可能性があります。
家族や友人に相談しづらい場合には、厚生労働省が運営する「こころの耳」や「労働条件相談ほっとライン」などに無料相談をしてみることをおすすめします。
仕事の終了時間を決める
残業40時間というありえない状況から残業を減らしていく方法として、仕事の終了時間を決めるという方法があります。
いきなり毎日定時に帰宅するというのは現実的に難しい面もあるかと思いますが、週に1日だけでも、事前に理由をつけて定時で帰宅できるようにします。
例えば、肩こりなどがひどく頭痛がするので整体に行くなど理由をつけるのがおすすめです。
友人と飲みにいくなどの予定と違い、整体などは身体の不調を整える行為のため、受け入れてもらいやすくなっています。
転職する
残業40時間というありえない状況で先行きが見えない中、ずっと苦しんでしまいそうな場合には、早い段階で転職を視野にいれていただければと思います。
転職するにも転職先を探したり退職の旨を伝えるなど、やらなくてはいけないことも多いですが、人生が好転すると思えば早め早めに行動することに越したことはありません。
残業40時間が法律違反の場合
残業40時間をしている状況が法律違反となるケースについてお伝えさせていただきます。
36協定が未締結
冒頭でもお伝えしました、36協定が結ばれていない場合は法律違反となります。
36協定は、いわば残業をさせるために結ばなくてはいけない協定です。
もし会社が36協定を結んでいない場合には、残業させることができません。
会社側が明らかな法律違反となります。
みなし残業代が払われない
みなし残業代とは、事前に一定時間は残業するとみなして固定式の残業代を払う制度です。
みなし残業代は、仮に20時間と設定されていて、20時間未満の残業時間だとしても、会社側は支払う義務が発生します。
また、みなし残業代を超えた分に関しては、別途、残業代として支払う義務があります。
残業代の計算方法
残業代の計算方法は以下のとおりです。
「1時間あたりの賃金(時給)×1.25(割増率)×残業時間」
残業した場合に発生する賃金は、1時間あたりの賃金に25%を加算した額となります。
ここでいう賃金は「月給÷所定労働時間÷所定労働日数」で算出いたします。
休日出勤や深夜労働などにもよって条件が異なる場合がございます。
残業代が未払いの際の対処法
残業代が未払いの際の対処法について説明いたします。
会社に在籍中の場合には、会社側と直接話し合いで請求する方法があります。
残業代が未払いである証拠を集め、客観的事実と法律に基づき直接交渉することになります。
離職後やこの方法が難しい、もしくは拒否されてしまった場合には、法的な手続きとして労働審判という方法があります。
労働審判とは、企業と労働者の労働に関する問題を迅速に解決するための制度です。
裁判官1人と労務関連の専門家2人を交えた話し合いが行われ、原則3日以内に完了します。
労働審判に異議がある場合には、少額訴訟や通常訴訟という最終手段の裁判に発展することになります。
残業40時間はありえないまとめ
ここまで残業時間40時間はありえない状況ということや、その対処法についてお伝えしてきました。
この記事のポイントをおさらいすると以下になります。
- 残業40時間が継続的に発生することはありえない
- 残業が頻繁に発生するのは企業に原因があることが多い
- 改善が見られない場合は早めに転職を視野に入れる
- 残業代が未払いの場合は法律則って請求できる
これらの情報が少しでも皆様のお役に立てば幸いです。
最後までご覧いただき、ありがとうございました。